マイクロスコープという言葉を聞いたことがありますか?
顕微鏡をのぞきながら手術するシーンをテレビなどで見たことがある方もいると思います。手術用の顕微鏡を歯科用にアレンジしたものを歯科用マイクロスコープといいます。
最近ではマイクロスコープを導入する歯科医院が少しずつ増えていますが、まだまだ歯科の現場では普及していません。
今回は歯科治療におけるマイクロスコープの活用方法についてご紹介します。 この記事は、新たに歯科医院を選ぶ参考にもなりますのでぜひ最後まで読んでみてください。
歯科診療を変える、歯科用マイクロスコープとは?
肉眼の20倍以上まで拡大可能
マイクロスコープでは肉眼の20倍以上に拡大が可能になり、また患部を直接明るく照らすことができます。明るく拡大することで、今まで見にくかった術部をはっきりと確認することが可能になります。
治療の精度が上がる
マイクロスコープを使うと高倍率で患部を目視できるため、虫歯の部分と健康な部分の箇所が明確に把握できます。それにより削る部分を最小限にとどめるなど治療の精度が上がります。
術部をモニターにうつし記録、共有できる
マイクロスコープにカメラを搭載すれば、治療の様子をうつすことが可能。また撮影・録画もできるので、他のスタッフや患者さんと一緒に画像を見て情報を共有しやすくなります。
歯科診療におけるマイクロスコープの活用方法3つ
つめ物・かぶせ物の治療
つめ物やかぶせ物の治療では、つめ物と歯のすき間をいかになくすかが重要です。すき間が空いていると細菌が入り込み、新たなむし歯ができてしまうのです。マイクロスコープを使うと鮮明に見えるのですき間を最小限にでき、再治療の発生率が下がりつめ物が長持ちします。
根管治療(歯の根っこの治療)
歯の根っこは形が複雑で肉眼での確認が難しく、基本的に医師の経験・技術をもとに手探りにならざるを得ません。マイクロスコープで拡大することで、肉眼では見えなかった根っこを発見できるなど治療の成功率アップへと繋がります。
歯周病治療やメインテナンス
歯石取りなどの歯周病治療にもマイクロスコープの有効性が発揮されます。歯と歯ぐきの間にある歯石をとる作業は細かくて見えにくく、レントゲンをもとに歯科衛生士の経験で手探りで行います。使用する器具は細く小さい刃物がついており、幅1mm程度。マイクロスコープを使うことで、目視できる範囲が格段に増え、結果歯石の取り残しを減らせます。また健康な歯ぐきを傷つけずに治療でき、患者さんの負担も軽減します。
マイクロスコープを有効に活用すれば治療の成功率も上がり、今までより歯を長持ちできるため患者さんにとっても大きなメリットとなります。
マイクロスコープの導入率の低さの理由
歯科診療におけるメリットの多いマイクロスコープですが、まだまだ歯科医院への導入率が低いのが現状です。マイクロスコープの導入に踏み切れない医院が多いのには理由があります。
理由その1.機器自体が高額
マイクロスコープの値段が高額であることが導入にあたり、大きなネックであるといえるでしょう。本体機器のほか、カメラや周辺機器をつけるとさらに費用が高額になります。
医院側の経営面では機器に投資をした分、収益が見込めるかの判断も難しいところです。現在は収益面を考慮して、マイクロスコープを使った治療は自費にしている医院が多いようです。
理由その2.ミラーテクニックの習得が必要
マイクロスコープを臨床で使いこなすには、相応の技術や経験が必要です。顕微鏡をのぞきながら治療するため、ミラーテクニックや手技においても対応した訓練が必須なのです。
さいごに
歯科用マイクロスコープを使用することで、肉眼では見えない細かく暗い患部を明るく拡大した状態で治療を行えるようになります。
既存の治療機器と同様、歯科医師・歯科衛生士それぞれの習熟度、技能によって治療の結果に差が出る事は、これまでと変わりませんが、見えない箇所を「勘と経験」だけで治療するよりは、精密な治療を正確に行いやすくなることは間違いありません。
歯科の現場で多方面に活用できるマイクロスコープ。今後ますます普及し、精度の高い治療が受けることができるようになることを期待したいですね。