口を開けると顎が痛い!顎関節症の原因と治療法を徹底解説

顎関節症って何?

顎関節症とは口を開けるときに顎が動きにくくなったり、痛みを感じて開けにくくなったりする病気です。顎の関節は体のどの関節とも違い、左右2つの関節が一緒になって動く特殊な関節です。そのため、左右差が出てしまうことで、顎周辺の筋肉や神経に痛みが生じます。その結果、口が開けにくい、口を開けるときに痛みが出るといった症状が出てしまうのです。

また顎関節には、上顎の骨と下顎の骨の間に関節円板というクッションの役割をする軟骨が存在します。この関節円板がずれてしまったり、すり減ってしまうことでも顎が開けにくくなったり、痛みが出たりします。

顎関節症のやっかいなところは口が開けにくくなるだけでなく、頭痛や首・肩の痛み、めまいといった症状も出ることです。噛み合わせにも影響を与えるため、虫歯でないのに歯が痛くなることもあります。顎関節は首や後頭部の筋肉とも繋がっているため、様々な全身症状を引き起こすのです。

なんで顎関節症になるの?

なんで顎関節症になってしまうのか、主にあげられる原因は歯ぎしり、食いしばり、咬み合わせ、ストレス、外傷です。

歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしりをすることで、顎には側方の力がかかります。食べ物を食べるとき、顎は上下に噛むだけでなく、側方である横方向にも動いて、食べ物をすりつぶします。上下の動きだけであればシンプルなのですが、横方向の力は顎にとって複雑な動きとなって負荷が大きいので、関節円板へ大きなダメージとなります。食べるときだけの横方向の動きであれば、それほど大きな負荷ではないのですが、歯ぎしりとなると違います。寝ているときに無意識に、1時間以上も横方向に顎を動かすことで、顎関節に大きな負担がかかってしまいます。その結果、顎が痛いといった顎関節症の症状が出ます。

また食いしばりは寝ている間以外にも、スポーツなどで集中するときや重いものを持ち上げたり投げたりするときに無意識に行なっています。食いしばりは口を閉じる筋肉が過度に緊張を起こすため、口を開けるときに口を閉める筋肉が緩まなくなり、顎関節に負荷がかかってしまいます。そのため食いしばりは口が開けにくいといった症状が強く出てしまうのです。

咬み合わせ

次に挙げられるのが「咬み合わせ」です。専門用語でいうと「不正咬合」と呼ばれるものです。例えば、出っ歯と呼ばれる上顎前突の場合、前歯でしっかりと噛みきれないため、奥歯が前歯の役割も補います。噛みきれずに大きい食べ物を大きいまま奥歯ですりつぶさないといけなかったり、すりつぶすのに顎を動かす回数が増えたり、顎関節に負荷がかかりやすくなります。その結果、顎関節症を発症してしまうことがあります。

ストレス

ストレスもまた顎関節症の大きな要因となります。精神的なストレスによって食いしばりの回数が増えたり、筋肉が過度な緊張状態になったりすることで顎関節症が発症します。また最近では季節の変わり目の温度差のストレスによって、筋肉の血行が悪くなってしまい、筋肉が動かしにくくなることでも顎関節症が発症してしまうことが指摘されています。

外傷

その他、交通事故などによる外傷で直接的に顎関節に損傷が加わり、顎関節の動きが制限され、口が開かないといったことも引き起こされます。

顎関節症を治す方法はある?

顎関節症にも治療法はあります。

スプリント療法

最も代表的な治療法はスプリント療法です。マウスピースをはめて、顎関節や歯への負担を軽減させる治療法です。食いしばりによる歯のすり減りも軽減できるメリットがあります。デメリットとしては異物感が強いため、使用できない患者さんがいることです。

薬物療法

これは口が痛くて開けられない場合、痛みに対して鎮痛薬を処方することで、口を開けやすくする治療法です。ただし、痛みの根本を改善するわけではないので、急な顎の痛みには効果がありますが、常に痛みがあるような慢性化した顎の痛みにはあまり効果がありません。

マッサージ

顎関節周囲の筋肉の過度な緊張にマッサージを行う歯科医院もあります。口の中から咀嚼筋にアプローチして筋肉の強張りを解消していきます。しかし継続しないと、すぐに後戻りしてしまうこともあります。

生活習慣の改善

生活習慣指導もよく行われる治療法です。顎に負担のかかる硬い食べ物を避ける、頬杖をやめるといった生活習慣の改善を指導します。デスクワークの際に食いしばっているようなことがあれば意識して食いしばらないようにするといったこともよく行われています。歯科医師が指摘し、患者さん自身が少しずつ改善していきます。

このように複数の治療法があり、患者さんの顎関節症が歯ぎしりによるものなのか、それとも咬み合わせによるものなのか、原因を特定し患者さん一人一人にあった治療法を選択します。

さいごに

顎関節症の初期は少し口が開けづらい、話しづらいといった程度の症状です。しかし、顎が痛くて食事をするのが苦痛、口が開かなくて会話ができないといった、日常生活に支障が出るようになったらすぐに歯科医院を受診しましょう。放置するとますます悪化するだけです。

顎関節症は一度治療を受けて治っても、また悪い姿勢などによって再発します。また、痛みはある程度改善したものの、口が以前のように開けられないといった症状が残る場合もあります。

顎関節症は症状を悪化させないために、常に生活習慣を意識し、マウスピースなどの治療を定期的に受けることが重要です。発症を繰り返さないためにも、予防として歯科医院に通うことも大切です。まずはあなたの顎関節の原因にあった治療を歯科医院で受けましょう。