何歳くらいから入れ歯が必要?
入れ歯といえば高齢者の方が使っているイメージですが、実際には比較的若い方でも入れ歯を使っている方はいらっしゃいます。
厚生労働省が行った歯科疾患実態調査によると、44歳までの「年齢別の歯の残存数の平均」は28本以上ですが、45歳~54歳では26.42本と28本を下回ります。健康な大人の歯は28本とされているので、28本を下回るということは、なんらかの原因で歯を失ってしまっているということです。
歯の喪失が少なければ、ブリッジで治療可能ですが、両隣に支える歯がなかったり、2本以上の歯がなかったりする場合には基本的には入れ歯による治療になります。
実際に、歯科疾患実態調査の「補綴物使用割合」では、45~54歳から入れ歯を使用し始め、その割合は段々と増え、後期高齢者ではおよそ3割の方が入れ歯を使用していることがわかります。
また、お口の中の歯の本数が少なくなるほど残っている歯にかかる負担が大きくなるので、歯を失うスピードは早くなっていきます。1本や2本歯がなくても食べ物を食べるのにはそこまで不便ではないかもしれませんが、長い目で見たときに歯を失うリスクはかなり大きくなります。
なぜ入れ歯が必要になるのか
では、なぜ歯を失い入れ歯が必要になるのでしょうか。
どのような原因で歯を失うのかを見ていきましょう。
歯を失うというと虫歯が大きくなって歯を抜かなくてはいけない、怪我で歯が折れて抜歯をしなければならない、などと思うかもしれませんが、実際には歯を失う原因のほとんどは歯周病です。
歯周病とは、歯周病菌によって歯茎や歯を支える骨といった歯の周りの組織が弱ってしまう病気です。虫歯のように強い痛みが起きることは少なく、ゆっくりと進行するため気がついたときには抜歯をしなくてはいけないほどに進んでしまっていることも少なくありません。
また、歯周病は虫歯と違い一本の歯だけではなくお口全体に広がる病気のため、歯を失うときは複数の歯を同時にまたは数年に渡って失うというケースもあります。
歯周病の治療をしないまま、抜けた歯をそのままにしていたり、部分入れ歯を作って使用していたりすると、残っている歯にも負担がかかるためどんどん歯が弱ってしまいます。
痛みなどの問題がなくても、定期的に歯科医院で検診をすることが歯周病予防には大切です。
入れ歯の種類について
では入れ歯の種類にはどのようなものがあるのでしょうか。
保険の入れ歯と自費の入れ歯に分けて説明していきます。
保険の入れ歯
保険の入れ歯は、プラスチックと歯にかける金属のバネで出来ています。
保険治療のため費用を抑えることができ、素材がプラスチックのため調整や修理がしやすいという利点があります。
ただし、プラスチックに厚みがあるために違和感が出やすい、歯にかける金属のバネが見える、という欠点があります。
自費の入れ歯
自費の入れ歯は、粘膜に触れる部分が金属のものや、歯にかける部分が金属ではないものなど、さまざまな種類があります。
プラスチックではなく金属を使うことで、薄くても強度がある入れ歯を作ることができるので違和感を少なくできます。また、歯にかける部分を見た目的に違和感の少ないものに変更することも可能です。
自費治療のため高価ですが、見た目も使用感も違和感が少ない納得のいく入れ歯を作ることができます。
さいごに
入れ歯になる原因や実際につくる入れ歯の種類について説明してきました。
入れ歯というと高齢者のイメージですが、40代後半から歯を失い入れ歯になる可能性もあります。
歯を失う一番の原因は歯周病であり、初期の歯周病は痛みなどの自覚症状がないため自分で気づくことは難しいでしょう。
長い人生を健康な自分の歯で送るために、歯科医院での定期的な検診とメインテナンスで歯周病予防に務めることが大切です。
また、歯が抜けてしまったり、歯がグラグラして噛みにくかったりする場合には、歯周病がかなり進行している可能性があるので、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。