前歯のすき間や黒ずみが気になる!審美歯科ではどのような治療をするの?

前歯が虫歯になってしまったら

前歯の虫歯は、神経に達していない小さなものであれば「コンポジットレジン」と呼ばれているプラスチック素材を用いて修復できます。虫歯を削った箇所にペースト状の材料を直接歯に盛りつけて、特殊なライトを照射して固める治療方法です。型取りの必要がないため1回の治療で済み、歯と同じ色に修復できるため目立ちません。保険が適用される治療方法のため費用を抑えられます。

ただし、経年劣化により歯と詰め物の境目が変色したり変形したりすることがあります。また、自費診療で用いられるセラミック素材よりも強度が弱く、かみ合わせが強い方はすぐに欠けたり割れたりする可能性もあります。

前歯の隙間が気になったら

前歯に隙間がほんの少しでもあると、見た目に大きな影響を与えてしまいます。中には人前で話すことに抵抗を感じたり歯を見せないように笑ったりするなど、コンプレックスに感じてしまう方も少なくありません。しかし、前歯の隙間は見た目の問題以外にも以下のようなトラブルが起きやすくなります。

虫歯や歯周病のリスクが高くなる

歯と歯の間に隙間があると、食べ物が詰まりやすく歯ブラシが届きにくくなります。歯磨きを怠ったり磨き残しが多発したりすると細菌が繁殖しやすい環境になり、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。

発音が不明瞭になる

歯と歯の間に隙間があると「サ行」や「タ行」英語の「Th」「s」といった発音がしづらくなります。これらは発音する際に上の前歯の裏側で息をためる必要があり、隙間があると息が抜けて音が不明瞭になってしまうのです。

胃腸に負担をかけてしまう

前歯は食べ物を噛み切る役割があります。歯と歯の間に隙間があると上下の歯がかみ合わず、食べ物を噛み切ったり細かく砕いたりすることが困難です。そのため、胃腸への負担が大きくなり消化不良につながることがあります。

審美歯科では主に「ダイレクトボンディング」や「ラミネートベニア」と呼ばれる治療方法で前歯の隙間を埋めます。前者はハイブリッドセラミック素材を直接歯に盛りつけて隙間を埋めます。後者は歯の表面を薄く削り、理想の形態に加工したセラミック素材を付け爪のように貼りつける治療方法です。

また、前歯の隙間は矯正治療でも改善できます。まずは歯科医院でどの治療が有効なのか、どのくらいの治療期間や費用がかかるのか相談してみましょう。

歯ぐきの黒ずみが気になったら

歯ぐきが黒ずむ原因には、メラニン色素の沈着と、お口の中の金属が溶け出して歯ぐきが変色するメタルタトゥーがあります。

メラニン色素の沈着はレーザー治療で改善が見込めますが、メタルタトゥーは根本的な原因を取り除く必要があるため、レーザー治療と併用して被せ物をセラミックのものにやり替えることが一般的です。ここではレーザー治療とセラミック治療のメリット・デメリットについて解説します。

レーザー治療

黒ずんだ歯ぐきに歯科用のレーザーを当てると、高熱によって上皮が瞬時に蒸発し、歯ぐきの黒ずみを取り除けます。新しい上皮が再生されると、きれいなピンク色の歯ぐきにすることができます。

レーザー治療は安全性が高く、妊娠中の方やペースメーカーを使用している方でも受けられます。施術の際は、表面に麻酔を塗るため痛みは少ないです。ただし、施術後数日間は刺激物の摂取を控える必要があります。なお、どこの歯科医院でも扱っているものではないため、施術を希望する方は事前に確認する必要があります。

セラミック治療

保険診療で用いられる被せ物や差し歯の裏側の金属は、次第に金属が溶け出して歯ぐきが黒ずんでしまうことがあります。このような場合オールセラミックなど、金属を含まないものに交換します。なお、土台も金属である場合は、グラスファイバー製のものに交換する必要があります。

セラミックは天然の歯に近い硬さや弾力性があることに加えて、歯と同じような透明感と白さを再現できます。金属を一切使用しないため金属アレルギーの心配もありません。しかし、強い衝撃に弱く、歯ぎしりや食いしばりによって欠けたり割れたりする可能性があります。また、自費診療のため治療費が高額になりがちです。

さいごに

審美歯科は、虫歯や歯周病の治療、かみ合わせや咀嚼といった機能面と、歯の白さや形態などの審美面の両方を満たす治療です。中には、機能面を考慮せず見た目の美しさだけを改善する歯科医院もあります。前歯の見た目を改善する際は、お口の機能も踏まえて治療をしてくれる歯科医院を選ぶことが大切です。また、治療が完了しても健康で美しい歯を維持するために、歯科医院での定期検診やクリーニングを受けましょう。