幼児の歯石が気になる!原因と予防・対処法を解説

なぜ幼児の歯に?子どもの歯石の主な原因

大人だけにつくものと思われがちな歯石ですが、なぜ小さな子どもにもできるのでしょうか。その原因を見ていきましょう。

磨き残しによる歯垢の蓄積

歯石の最も大きな原因は、日々の歯磨きで落としきれなかった歯垢です。
歯垢は虫歯や歯肉炎などの原因となるさまざまな細菌が塊になったもので、唾液中のミネラル成分と結びつくことで石灰化し、硬い歯石へと変化します。
幼児は歯磨きの技術が未熟なため、奥歯や歯と歯ぐきの境目などに磨き残しが生じやすい状況にあります。特に下の前歯の裏側は唾液腺の開口部に近く、唾液の成分によって歯石が形成されやすい部位です。

口呼吸や唾液の質の影響

唾液には本来、口内を洗い流す「自浄作用」があります。しかし唾液の量が少なかったり、ミネラル成分が多かったりすると、歯垢が石灰化しやすくなります。
加えて、口呼吸の習慣があると口の中が乾燥しやすくなり、唾液の働きが十分に発揮されません。そのため、歯垢が残りやすくなり、歯石の形成につながります。夜間にいびきをかいたり、口の中が乾いていたりする様子が見られるお子様は、歯石がつきやすい傾向があるため注意が必要です。

食生活の乱れ

甘いお菓子やジュースを頻繁に摂取することも、歯石の原因になります。糖分を好む細菌が繁殖しやすくなり、歯垢が増えるためです。加えて、噛む回数が少ないやわらかい食事が続くと、唾液の分泌が減り、口内の汚れが残りやすくなります。日常の食習慣は、歯石予防の重要なカギを握っています。

危険!幼児の歯石を「自宅で取る」リスク

歯石の表面はザラザラしており、さらに歯垢が付きやすい状態になるため、除去が必要です。
お子様の歯に歯石が付着しているのを見つけると、自宅で何とか取り除きたいと考える保護者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、自己判断での除去には大きな危険が伴います。
市販の器具を使って歯石を削り取る行為は、歯の表面や歯ぐきを傷つけるおそれがあります。乳歯は永久歯よりも歯質が薄く柔らかいため、わずかな力でも削れてしまうことがあるのです。これが、炎症や知覚過敏を起こす原因にもなりかねません。
さらに、歯石は目に見える部分だけでなく、歯ぐきの内側にもこびりついていることがあります。
表面の歯石だけを取り除いても、歯ぐきの下に残った歯石が細菌の温床となり、歯肉炎を引き起こす可能性があります。幼児期に歯ぐきが腫れたり出血を繰り返したりすると、将来の歯並びや永久歯の健康にも悪影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。
こうしたリスクを避けるためにも、歯石が気になるときは歯科医院を受診しましょう。歯科医師や歯科衛生士が専用の器具を使い、痛みを抑えながら安全に除去してくれます。

歯石を「作らせない」予防法とは

歯石は一度つくと、家庭で完全に取り除くのは困難です。そのため、そもそも「作らせない」ことが最も重要な対策となります。予防の基本は、毎日の歯磨きを丁寧に行うことです。
子どもが自分でしっかり磨けるようになるのは、一般的に10歳前後とされています。それまでは保護者による仕上げ磨きが欠かせません。特に就寝前は、唾液の分泌が減るため、汚れが残りやすくなります。
歯ブラシは子ども用の柔らかいタイプを選び、奥歯の裏側や歯と歯ぐきの境目など、汚れがたまりやすい箇所を意識して磨くことで、歯石の予防につながります。
また、食生活の見直しも重要です。甘いおやつやジュースの摂取を控え、食後はなるべく水やお茶で口をすすぐ習慣をつけましょう。唾液の分泌を促すために、しっかり噛む食材を取り入れるのもおすすめです。
さらに、定期的な歯科検診を受けることで、歯石の早期発見やプロによるクリーニングが受けられます。歯科医院では、虫歯予防に効果的なフッ素塗布や歯磨き指導なども受けられるので、積極的に活用してください。加えて幼児期から歯科医院に慣れておくことで、歯科治療への恐怖心を軽減し、将来的な口腔トラブルの予防にもつながります。

さいごに

幼児の歯に歯石がつくのは珍しいことではありませんが、放置すると歯ぐきの炎症や虫歯の原因になります。家庭で無理に取ろうとせず、歯科医院で安全に除去してもらうことが大切です。
また、仕上げみがきや食習慣の見直し、定期的なプロケアを続けることで、歯石は十分に予防できます。お子様の歯を守る第一歩として、今日からできるケアを実践していきましょう。