あまり頼り過ぎない方が良い?おしゃぶりの悪影響とは?

おしゃぶりを咥えた小さなお子さんの姿はとてもかわいらしいものですし、おしゃぶりを与えてお子さんが落ち着いて機嫌良くしてくれていれば、親にとっても安心感をもたらせてくれる便利なグッズです。
ただその一方、使い方や時期を誤るとお子さんの歯列や口腔環境などの発達に悪影響があるとも言われています。
今回は、おしゃぶりの影響と適切な使い方といった視点から、わかりやすく解説します。

おしゃぶりのメリット

おしゃぶりを咥えて吸うことで口の中に圧を加え、触感を得ることで落ち着く、自己鎮静の効果が最も一般的なおしゃぶりの効果と言えます。
その他には、就寝時におしゃぶりを使用することが、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスク軽減になるとの意見もあります。
また、早産児や新生児にとってはおしゃぶりを吸う行為によって哺乳能力の発達を助ける、ある種のトレーニング的な効果もあると言われています。

歯医者さんが懸念する、おしゃぶりの長期使用による口腔への影響

1.出っ歯や開咬など、歯列不正のリスクが高まる

おしゃぶりを長期間使用することで、歯列に不自然な力がかかり、上の歯が突出する「出っ歯(上顎前突)」や、上下の歯が咬み合わない「開咬」などの歯列不正を引き起こすリスクが高まると言われています。
とくに2歳以降の継続使用は、顎の発達や永久歯の生え方にも悪影響が及ぶ可能性があると言われます。

2.口呼吸・舌癖などの習慣癖を助長する

常に口におしゃぶりがあることで、口が開きがちになり、鼻からではなく口で呼吸する、口呼吸の癖がつきやすくなると言われています。
また、舌の正しい位置や運動が妨げられることで、舌突出癖などの舌癖(ぜつへき)が形成されやすく、歯並びや顎の発達に影響し、将来的に歯列矯正が必要になる場合もあります。

3.むし歯のリスクが高まる

おしゃぶりを咥える事で口が開いている時間が長くなると、口の中が乾燥した状態になり、唾液の量が減ってしまいます。
睡眠中など、ただでさえ唾液が減りやすい状況で口が開いていると、さらに口の中が乾燥します。
口腔内が乾燥すると、唾液による殺菌効果が弱まり、むし歯菌が増殖しやすい環境が生まれてしまうため、むし歯の進行を促してしまいます。

おしゃぶりの使用をやめる適切な時期と具体的な対策

歯科医師など専門家は、「2歳頃には使用をやめる」、遅くとも「3歳までには完全卒業」が望ましいと考えている方が多いようです。
おしゃぶり使用の減らし方の工夫としては、ある日突然やめるのは難しいので、1歳半頃から徐々に使用時間と頻度を減らしていく、例えば昼間の使用をやめて夜だけにするなど、段階的に減らしていきます。
お子さんごとの個性や発達の違いなどもありますので、歯科衛生士などの専門家からのアドバイスを参考にすすめるのもおすすめです。
おしゃぶりで得ていた安心感を別の方法で補ったり、気を反らしたりするために、抱っこや絵本、音楽やぬいぐるみなど、お子さんが安心する代わりの方法を併用しながらゆっくり習慣を変えていくことが大事です。

さいごに

おしゃぶりは適切な時期・使い方の範囲であれば非常に便利なツールですが、長期継続や使い過ぎはさまざまなリスクにつながります。

大切なのは「いつまでに」「どのように卒業するか」について親子でずれずに歩み寄ること。特に2歳前後からは徐々に使わない方向へ移行し、子どもの成長や個性に応じた調整を心がけましょう。

もし使い方に不安がある場合は、小児科医や小児歯科医に気軽に相談されることをおすすめします。