歯石が口臭の原因になる？
口臭の原因はさまざまですが、歯石が原因となることがあります。歯石による口臭の主な要因は、「ガス」「出血」「膿」です。
1.歯石に溜まる細菌から発生するガス
歯石の表面は舌で触るとザラザラしています。汚れが付着しやすい環境なので、歯石を放置しておくと歯垢が増えていきます。歯垢の中には、歯周病の原因となる細菌も多く存在し特有のガスを発生します。このガスは、玉ねぎの臭い、腐った卵の臭い、生ごみの臭いのような3種類の臭いから複数混じることでより不快な口臭に感じます。
2.歯ぐきの出血による生臭さ
歯石を放置していると、歯周病が進行して歯ぐきから出血を伴います。出血すると、お口の中は鉄臭い、生臭い臭いになりご自身でも口臭を感じやすくなります。
3.歯周病で膿が出て臭う
歯石を放置していると、歯周病が進行していきやがて歯を支えている顎の骨を溶かしていきます。歯の周りの組織にも炎症が広がると、膿が出て臭う原因となるのです。歯ぐきから出る膿は強烈な臭いのため、歯石をそのままにすると口臭が悪化することが分かります。
歯石の除去ってどうやるの？
歯石があっても痛くないからと、付着している状態を放置してもメリットはありません。ご自宅での毎日のブラッシングでは、強固に付着している歯石は取り除くことができないため、早めに歯科医院を受診してクリーニングなどの処置をしてもらいましょう。
1.スケーリング
国家資格を持つ歯科医師または歯科衛生士が、歯石を専用の機器を使用して取り除く方法です。主に、歯ぐきより上にある目に見えている歯石(縁上歯石)を超音波の機器(スケーラー)の振動により、破壊して取り除きます。歯石が多いと、歯ぐきが下がって歯の根っこ部分(象牙質)が露出するため、一時的に知覚過敏の症状がでることがあります。歯ぐきが引き締まってくると症状は落ち着きます。
2.ルートプレーニング
手用の器具で、1本1本丁寧に歯石を取り除く方法です。歯ぐきの下の目には見えない歯と歯ぐきの間(歯周ポケット内)にある強固に付着している歯石(縁下歯石)を取ることができます。歯の根っこの表面をツルツルにすることで、再度、歯垢が付着して歯石になるのを防ぐことができます。また、スケーリング後にルートプレーニングすることを「SRP」と呼び、上下左右などブロックに分けて時間をかけて慎重に歯石を取り除いていきます。歯周病の改善につながる治療法です。
3.フラップ手術
歯周ポケットの奥深くにある歯石はルートプレーニングでは痛みや出血を伴い取り除くことが不可能なことがあります。その場合は、歯ぐきに麻酔をして、切開して歯石を目視しながら取り除く「フラップ手術」をする必要があります。
歯石が付きにくくする方法とは？
そもそも歯石は、歯垢を2日程度放置することで硬い石のように固まったものです。よって、歯石を付きにくくするには原因となる歯垢を溜めないことが重要であると分かります。
1.デンタルフロスなどの清掃補助用具
毎日歯磨きをしているのに、歯石が溜まってしまう方は、まずセルフケアを見直してみましょう。セルフケアで歯ブラシだけを使用している方の歯垢除去率はなんと約6割程度と低く、完全に取り除くことは難しいのです。歯垢を効率よく落とすためには、デンタルフロスや歯間ブラシなどの清掃補助用具をプラスして歯を清掃しましょう。なんと、デンタルフロスを使用することで8割以上の歯垢を落とせるのです。歯科医院では、ご自身に合う清掃補助用具や磨き方の指導を受けることができるので、相談してみましょう。
2.歯石の付着しにくい歯磨き粉
市販の歯磨き粉の中でも、フッ素が配合された物を選択するのがおすすめです。フッ素は、歯を強く育て、歯の表面をコーティングして汚れを付きにくくしてくれます。
3.洗口液
洗口液には、歯垢などの汚れを付着しにくくする成分が含まれています。ただし、洗口液だけでお口を漱ぐだけでは効果は期待できないため、歯ブラシやデンタルフロスでしっかり汚れを落とした後の仕上げとして使用しましょう。
さいごに
歯石を除去することは、口臭予防だけではなく歯周病などの口内トラブルから歯や歯ぐきを守ることに繋がります。歯を舌で触るとザラザラする、歯の表面に黄色っぽい汚れが付いているなどの異変に気が付いたら早めに歯科医院を受診しましょう。歯石は、セルフケアでは落とすことが不可能なので、定期的に歯科医院でプロによるクリーニングや歯石除去をしてもらうことが大切です。